boundary

今日一つの国と一つの大きな連合を巻き込んだ国民投票が行われた。

結果としては「これまで通り」に落ち着いたけれど
場合によっては僕らが見慣れた「ユニオンジャック」が世界地図から無くなっていたかもしれない。

基本単一民族で成り立っていて、他国による占領という歴史も皆無に等しい 日本という国で生まれ育った僕ら日本人には 「独立」や「分裂」というものがあまりピンとこない話なのかもしれない。 実感もなければそれがどんなものなのかも想像上でしかなく まるで見当違いの感覚を覚えるかもしれない。

今世界には195カ国もの国々があり(※日本が承認している独立国数)
見渡せば、様々な生い立ちを持つ国ばかりだ。

これまでは別々の国だったところが一つになって生まれた国
いくつもの民族が統合されて一つのかたちを成した国
あるいはその逆に分裂して生まれた国
中にはやっぱりその国のかたちを快く思えないケースも少なくないと思う。

それでも思う。
単一の民族、過去の歴史にあった国のかたちをいつまで重んじ
いつまで拘るべきなんだろう?

民族が違えば、習慣や風習、文化も違うかもしれない。

でもそれ以前に、人は皆それぞれ違う。
自分は一人で、それ以外は結局どこまでいってもみんな「他人」。

それだけ大きな壁があるにもかかわらず
それでも尚、人はその他人を更に細かく分けて壁を沢山沢山つくりたがる。

というより、グループを沢山つくって分けたがると言ったほうが適切なのかな。

分けるだけならまだいいけれど
その分けたうちの特定のグループを敵視したり侮蔑したりいがみあったり
あるいは自分を含ませたグループ以外を認めなかったり……

また、性別や血や肌の色
思想や考え方、身体的特徴
特定の技能における優劣や
多数派少数派

それらに優劣をつけたり、崇めたり虐げたり
そのグループに属した(させた)だけで、そんなことはありえる訳がないのに
さもすべてが自分より劣っているかのように見たり

それは愚かだよ。

侮辱されたり尊厳を傷つけられた側は当然、反感を持つし感情的にもなる。
感情的になってしまっては売り言葉に買い言葉だ。
僕達は毎日のように、こうして「新しい敵」を生み続けて、自ら孤独になろうとしていっているんだ。

なぜ敵をつくりたがるのだろう?
なぜ違うものどうし、手を取り合えないのだろう?
なぜ違う考えどうし、互いの優れている点を認め合えないのだろう?
なぜ自分(たち)のほうが優れていて、それ以外が劣っていると考えるのだろう?

「違いよ万歳」なんじゃないだろうか。
違いがあるから自分の引き出しにないものが生まれる。
これまでにはなかった素晴らしいものだって生まれる。

そんなこともみんな分かっているのにね。

「一国の独立」という話から、いささか飛躍しすぎた感もあるかもしれないけれど
内情は当事者たちにしか分からないところかもしれないけれど
せっかく手を取り合ってたところを、また袂を分けて別々に… というのも、ちょっと淋しい話だと思った。

ヨーロッパは、それぞれの「国」という個体を残しながら一つになる地域統合体を世界中で最も進んだかたちで実現している(と僕は考えている)地域だけに
その内部でこうした分裂騒動が起こるのがなんだか淋しいような悲しいような感じになりました。

「一つになる」ってこと、実現はしないのだろうか……?
でも、本当にそんなに難しいことなんだろうか……?

有史以来、21世紀も6分の1ほどがすぎ去って尚
いまだに人類は同じことを繰り返している。

もう同じことを繰り返すのはいいんじゃないかな…?

世界が一つになることは これからもまだまだ難しいことなんだな…と少し寂しく思えた出来事でした。

深井 学

青山で印刷物・Webを中心にトータルなデザインを提供しているデザイン事務所Glitter Styleのクリエイティブディレクター。デザイナーでフルスタック。 企画、ロゴ・広告・印刷物のデザイン、Webデザイン・ディレクション、撮影ディレクション、ブランディングに必要なあらゆるニーズにお応えします。「こんなものつくれない?」「こんなことできない?」そんなご相談もお待ちしております。

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